2023/11/29 分水嶺に立つ中小製造業ーー【消滅・企業閉鎖か?ロボット活用での発展か?】ーー
以下は 2023年11月29日のオートメーション新聞第346号に掲載された寄稿記事です)

分水嶺に立つ中小製造業

【消滅・企業閉鎖か?ロボット活用での発展か?】



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今回は、極めて暗い話から始めなければならない。先日、私が30年以上にわたりお付き合いをしてきた精密板金企業の社長から、衝撃的な電話をいただいた。その内容とは、会社閉鎖の連絡である。理由は業績悪化ということではなく、後継者に恵まれず、退職者の続出で人手不足に陥り、事業の継続が難しいという内容であった。

電話で話を聞きながら、私は時代の変化を強く感じていた。私が社会に出たのは、ほぼ半世紀前である。その頃、会社閉鎖といえば例外なく不渡り倒産であった。手形が当たり前に流通していた時代である。手形の不渡りによって倒産し、結果として会社閉鎖。倒産なくして会社閉鎖は考えられなかった。

ところが、今日では手形はほとんど見かけないので、手形の不渡りによる倒産は聞かない。半面、業績悪化がないのにも関わらず、後継者や人手不足により会社閉鎖が現実となっていることは、かなりの強い衝撃である。最近では、お客さまから会社を売却したいといった相談事も増えている。

また、ちまたではM&Aの話題も非常に多いが、M&Aや会社売却もできず、企業閉鎖に至る現実がある。苦渋の判断をする社長の苦しさを推測すると、胸の痛い思いがする。このような会社閉鎖の事実はどこまで続くのだろうか? 未来を予測することは決して容易ではないが、私が経営する企業(アルファTKG)が実施した調査をもとに、大胆な将来予測を試みた。

この調査は、2023年1月から10月までの10カ月間にわたり200社を超える精密板金業界の企業から得たものである。調査内容詳細は割愛するが、調査結果から得られる予測は、『10年以内に50%の企業が消滅する』という恐ろしいものである。精密板金業界とは、薄い鉄板を加工しさまざまな筐体を作りだす業界であり、その製品の範囲は広範囲に広がる。

例えば、配電盤・工作機械カバー・医療機器・自販機・ATM・半導体製造装置など全産業に広がっている。精密板金業界の特徴は、多品種少量生産であり現場ベテランのノウハウに依存している。企業規模も中小・零細企業が大半であり、日本列島の全国津々浦々に町工場として存在している。

精密板金市場は、国内4兆円産業である。国内に2万社の企業が存在するので、一社あたりの平均年商は2億円。従業員数も数十人の中小・零細企業の集合体である。10年以内に50%が消滅、すなわち、2万社のうち1万社が消滅することになる。消滅の根拠として、平均年商2億円以下の企業の80%が『後継者がいない』と答えており、また、『企業の存続は難しい』との衝撃的な調査結果が出ている。

半面で、年商2億円以上の企業には、さすがに後継者問題を抱えている企業は少ない。特に年商5億円を超える企業には旺盛な成長志向を持つ経営者が多く、大いに将来が期待できる企業が多い。年商5億円を超える将来有望な精密板金企業は、日本に5000社以上存在し、この企業群だけでも25万人の従業員が働いている。

25万人の従業員には年配者が多く、5年以内に5万人の従業員が退職し、10年以内に10万人以上が退職する。退職者に代わって若者が従事する可能性は限りなくゼロに近く、極端な人材不足に陥るのは明白である。年商5億円を超える将来有望企業には、消滅する1万社の受注も加算されるので、受注は増大し、将来の受注環境は極めて明るいと思われるが、人手不足の課題は深刻である。

日本政府は、外国人労働者の活用を打ち手として、人手不足解消をもくろんでいるが、ピント外れと言ったら言い過ぎであろうか?深刻な人手不足に対応する打ち手は、自動化と言っても過言ではない。自動化実現の手段は、ロボットである。ロボットにも、事務所の単純作業を保管するRPA(ソフトロボット)と、現場の作業を自動化する現場ロボット(協働ロボット)の両翼がある。

どちらも人手不足を解消する打ち手としての唯一の手段である。もし将来において、RPA(ソフトロボット)も現場ロボット(協働ロボット)も使わない企業があるとしたら超幸せ。優秀な従業員が安い給料で働いてくれる超幸せ企業である。2万社の精密板金企業が進む道は2種類。消滅の道をたどるか? 

またはロボットの活用で成長軌道に乗るか? の二者択一である。精密板金業界の2万社の企業に加え、あらゆる中小製造業にとって、消滅・企業閉鎖か? ロボット活用での発展か? の分水嶺に立たされていると言っても過言ではない。








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著者 高木俊郎
14:09 | 未分類 | コメント:0 | page top
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