2023/01/12 劣化列島日本/希望と勇気⑫(最終稿)ーー【真犯人/出羽守(でわのかみ)】ーー
以下は 2022年12月21日のオートメーション新聞第309に掲載された寄稿記事です)
劣化列島日本/希望と勇気⑫(最終稿)
『真犯人/出羽守(でわのかみ)』
ーー
2022年は、『劣化列島日本/希望と勇気』をテーマに、1月より月1回合計11回連載してきた。本稿は最終稿として、第1稿から第11稿までを振り返り、締めとしての総集編を論じていきたい。22年は突然の円安に襲われ、コストプッシュインフレによる諸物価高騰など、生活圧迫の半面で、完成品メーカー・大企業は好決算に湧いているが、企業内に「劣化列島日本」の現象は存在しないのだろうか? 大企業の内部では、コロナ災いによる勤務形態に大きな変化が生じてきたが、社員のモチベーションが上昇しているとは言い難い。
筆者の知り合いにも、長期のテレワークの影響でうつ病を患い、退職に追いやられた優秀な社員がいる。好決算とは対象的に、残念ながら「劣化列島日本」の現象が散見されるのも現実である。22年1月の第1稿では『カーボンニュートラル/SDGs』を取り上げた。SDGsは外圧である。
ところが、ロシアからのエネルギー供給を止められた欧州を中心に、SDGsの掛け声は声を潜め、SDGsは棚上げ状態である。SDGsを「神の声」として崇拝している日本社会は、出羽守(ではのかみ)に汚染されていないだろうか? 筆者はかねてより、出羽守の弊害を提言してきた。出羽守とは、欧州では……米国では……と、欧米の習慣や言動を常に引き合いに出す事を言う。
出羽守は「欧米は日本より優れている」との前提があり、日本を自虐的に攻撃する事が多く、日本の優れた文化を破壊し、日本のアイデンティティーを消滅させる非常に危険な言動である。SDGs崇拝は、出羽守による日本列島劣化の象徴である。出羽守の弊害は、22年5月の第5稿において、『出羽守に支配されたウクライナ報道』と題し、詳細に寄稿している。
出羽守の象徴のひとつに「ドイツ神話」があげられる。『ドイツはものづくりで優れている。見習うべき優れた国だ』といった認識が日本全体に定着しているが、その認識はかなり違っている。2月の第2稿で『ドイツ衰退に学ぶ劣化の法則』と題し、寄稿した。驚くことに、今のドイツは「国家劣化」に襲われ、ドイツ社会は大きく衰退している。
ドイツ神話はとっくに崩壊しているが、日本ではあまり認識されていない。特に製造業界では、ドイツを信奉する思想が依然として強く定着している。『日本人は働きすぎだ! ドイツを学べ』などと言う御仁は、出羽守の典型であり、あまりにも的外れ発言である。歴史を紐解くと、日本の素晴らしい遺伝子に触れることができる。
7月掲載の第7稿では、『50年前にタイムマシン。日本列島改造論』にふれた。出羽守が闊歩する前(バブル崩壊以前)の日本は、欧米よりはるかに優れた文化とビジョンを持っていた。この歴史的証明が50年前の「列島改造論」である。列島改造論以降の日本では、列島改造論が中心軸となって、日本経済は大いに成長し、安全で豊かな日本が創造されたが、バブル崩壊以降の日本はグローバル主義を標榜し、国家戦略すらも見失った。
かつては世界を席巻した電子技術も、Web1.0、Web2.0の時代の流れに乗り遅れ、GAFAに取って代わり、日本の出る幕もない。列島改造論から50年。今まさに50年前の日本を学ぶ時である。数十年に渡り日本経済を苦しめてきた「円高」が消滅し、「円安」時代がやってきたが、今の日本では依然として出羽守に支配され続けている。これが、劣化列島日本を誘発した原因である。
第3稿では、ソニーの復活を取り上げた。ソニー復活物語は、劣化列島日本で花開いた「希望と勇気」と言っても過言ではない。不死身のように復活を成し遂げたソニーを取り上げ、われわれ日本人の誇りを取り戻す「希望と勇気」を検証した。ソニー復活は日本のものづくり遺伝子に回帰した革命であり、お客さまの「感動」を旗印に、グローバル主義から脱皮した日本の誇りである。
もっと強い言葉を使えば、「欧米からの思想的奴隷解放」でもある。ソニーの復活こそ日本復活のお手本であり、日本の「希望と勇気」がここにある。紙面の都合で1年間に寄稿してきた『劣化列島日本/希望と勇気』のすべてを紹介することはできないが、劣化列島日本が侵された病は、「グローバル」という欧米発のウイルスであり、この病の特効薬は「日本遺伝子への回帰」であることは明白である。
最終稿のまとめ要約は、「劣化列島日本」を作り出した張本人は、「出羽守」であり、「希望と勇気」の原動力は「日本人の誇り、日本遺伝子への回帰」である。日本企業のすべてが、出羽守に支配された「グローバル化」から卒業し、日本にいかりをおろし、日本企業として世界に羽ばたく「インターナショナル企業」となることを祈願し、最終稿の筆を置きたい。

著者 高木俊郎
劣化列島日本/希望と勇気⑫(最終稿)
『真犯人/出羽守(でわのかみ)』
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2022年は、『劣化列島日本/希望と勇気』をテーマに、1月より月1回合計11回連載してきた。本稿は最終稿として、第1稿から第11稿までを振り返り、締めとしての総集編を論じていきたい。22年は突然の円安に襲われ、コストプッシュインフレによる諸物価高騰など、生活圧迫の半面で、完成品メーカー・大企業は好決算に湧いているが、企業内に「劣化列島日本」の現象は存在しないのだろうか? 大企業の内部では、コロナ災いによる勤務形態に大きな変化が生じてきたが、社員のモチベーションが上昇しているとは言い難い。
筆者の知り合いにも、長期のテレワークの影響でうつ病を患い、退職に追いやられた優秀な社員がいる。好決算とは対象的に、残念ながら「劣化列島日本」の現象が散見されるのも現実である。22年1月の第1稿では『カーボンニュートラル/SDGs』を取り上げた。SDGsは外圧である。
ところが、ロシアからのエネルギー供給を止められた欧州を中心に、SDGsの掛け声は声を潜め、SDGsは棚上げ状態である。SDGsを「神の声」として崇拝している日本社会は、出羽守(ではのかみ)に汚染されていないだろうか? 筆者はかねてより、出羽守の弊害を提言してきた。出羽守とは、欧州では……米国では……と、欧米の習慣や言動を常に引き合いに出す事を言う。
出羽守は「欧米は日本より優れている」との前提があり、日本を自虐的に攻撃する事が多く、日本の優れた文化を破壊し、日本のアイデンティティーを消滅させる非常に危険な言動である。SDGs崇拝は、出羽守による日本列島劣化の象徴である。出羽守の弊害は、22年5月の第5稿において、『出羽守に支配されたウクライナ報道』と題し、詳細に寄稿している。
出羽守の象徴のひとつに「ドイツ神話」があげられる。『ドイツはものづくりで優れている。見習うべき優れた国だ』といった認識が日本全体に定着しているが、その認識はかなり違っている。2月の第2稿で『ドイツ衰退に学ぶ劣化の法則』と題し、寄稿した。驚くことに、今のドイツは「国家劣化」に襲われ、ドイツ社会は大きく衰退している。
ドイツ神話はとっくに崩壊しているが、日本ではあまり認識されていない。特に製造業界では、ドイツを信奉する思想が依然として強く定着している。『日本人は働きすぎだ! ドイツを学べ』などと言う御仁は、出羽守の典型であり、あまりにも的外れ発言である。歴史を紐解くと、日本の素晴らしい遺伝子に触れることができる。
7月掲載の第7稿では、『50年前にタイムマシン。日本列島改造論』にふれた。出羽守が闊歩する前(バブル崩壊以前)の日本は、欧米よりはるかに優れた文化とビジョンを持っていた。この歴史的証明が50年前の「列島改造論」である。列島改造論以降の日本では、列島改造論が中心軸となって、日本経済は大いに成長し、安全で豊かな日本が創造されたが、バブル崩壊以降の日本はグローバル主義を標榜し、国家戦略すらも見失った。
かつては世界を席巻した電子技術も、Web1.0、Web2.0の時代の流れに乗り遅れ、GAFAに取って代わり、日本の出る幕もない。列島改造論から50年。今まさに50年前の日本を学ぶ時である。数十年に渡り日本経済を苦しめてきた「円高」が消滅し、「円安」時代がやってきたが、今の日本では依然として出羽守に支配され続けている。これが、劣化列島日本を誘発した原因である。
第3稿では、ソニーの復活を取り上げた。ソニー復活物語は、劣化列島日本で花開いた「希望と勇気」と言っても過言ではない。不死身のように復活を成し遂げたソニーを取り上げ、われわれ日本人の誇りを取り戻す「希望と勇気」を検証した。ソニー復活は日本のものづくり遺伝子に回帰した革命であり、お客さまの「感動」を旗印に、グローバル主義から脱皮した日本の誇りである。
もっと強い言葉を使えば、「欧米からの思想的奴隷解放」でもある。ソニーの復活こそ日本復活のお手本であり、日本の「希望と勇気」がここにある。紙面の都合で1年間に寄稿してきた『劣化列島日本/希望と勇気』のすべてを紹介することはできないが、劣化列島日本が侵された病は、「グローバル」という欧米発のウイルスであり、この病の特効薬は「日本遺伝子への回帰」であることは明白である。
最終稿のまとめ要約は、「劣化列島日本」を作り出した張本人は、「出羽守」であり、「希望と勇気」の原動力は「日本人の誇り、日本遺伝子への回帰」である。日本企業のすべてが、出羽守に支配された「グローバル化」から卒業し、日本にいかりをおろし、日本企業として世界に羽ばたく「インターナショナル企業」となることを祈願し、最終稿の筆を置きたい。

著者 高木俊郎
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