2022/03/30 劣化列島日本/希望と勇気③ーー『ソニー復活から学ぶ『輝かしい未来』ーー
以下は 2022年3月30日のオートメーション新聞第285号に掲載された寄稿記事です)

​​劣化列島日本/希望と勇気③

ソニー復活から学ぶ『輝かしい未来』





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劣化列島日本をテーマにしたシリーズの3回目は、「ソニーの復活」を取り上げる。まず、数十年前のソニー全盛時代を振り返りたい。20世紀後半、ソニーの世界的活躍はわれわれ日本人にとっての大きな誇りであった。世界中のあらゆる空港免税店では、ソニーの製品が一等地に並び、テレビやウォークマンなどソニー製エレクトロニクス製品に、世界中から羨望の目があてられていた。

当時、筆者も米国出張の際に最新のウォークマンを持参し、米国の友人に自慢したことが懐かしい。友人からは、『ウォークマンとは変な英語だが、製品は凄いな!』と羨ましがられたことを覚えている。確かにウォークマンなる英語は存在せず、『英語圏での商品名には馴染(なじ)まない』との声も現地からは出ていたらしいが、当時のソニー幹部は『世界中でウォークマンに名称統一』の決定を行った。

結果としてウォークマンなる言葉は、辞典に載る正式英語となった。エレクトロニクス大国として世界を席巻し、『Japan as №1』とまで言われた日本も、ソニーの凋落とともに「失われた30年」に突入し、今日に至っている。失われた30年は、1992年のバブル崩壊から始まっているが、バブル崩壊から10年が過ぎた2003年(約20年前)に、ソニーショックと呼ばれた大事件が勃発する。

米国や韓国・中国との戦いに敗れたソニーが突然、1000億円に及ぶ業績の下方修正を発表し、株式市場は大パニックに陥った。株価はストップ安の大暴落となり、日本の失われた30年を決定づける象徴的な事件であった。以降、ソニー神話は崩壊し、メディア各社はソニー消滅論をこぞって報道。メディア各社のソニー叩きは壮絶を極め、あらゆるメディアが自虐的にソニーの劣化を取り上げ、ソニーの復活を信じるメディアは皆無であった。

ソニーが最悪の業績であった12年に平井一夫氏が社長に就任した。平井氏にはプレステの業績回復などの実績があるものの、メディア各社の反応は驚くほど否定的であった。当時の記事を読むと、平井氏はソニーの本流であるエレクトロニクスから外れた傍流(ぼうりゅう)であり、傍流ではソニーの復活は不可能と断じ、ソニー消滅すら予測する始末であった。

筆者も平井社長就任には大いなる関心を持ち、ソニーの動向には注意を払っていた。プレステの生みの親で、平井氏の前任の久夛良木(くたらぎ)健SCE(ソニー・コンピュータエンタテインメント)前社長が、私の大学の先輩であったことも平井氏に興味を持つ一因であった。平井氏の社長就任はソニーの歴史そして日本の歴史に刻まれた「大復活」の源である。以降ソニーは業績を回復し、21年のソニー経営実績は、営業利益1兆円超の史上最高の利益を上げている。

ソニー復活の事実であり、未踏の世界に踏み出す大発展の兆候である。ソニー復活物語は、劣化列島日本で花開いた「希望と勇気」と言っても過言ではない。本稿では、不死身のように復活を成し遂げたソニーを取り上げ、われわれ日本人の誇りを取り戻す「希望と勇気」を検証したい。ソニー復活の要因は、かつてソニー消滅すら予測したメディアが、(手のひらを返し)賛美の報道をしているので、そのへんは割愛する。

私の個人的な視点で恐縮だが、私の趣味の一つはカメラである。何十年に渡り、ライカ、キヤノンなど高価なカメラとレンズに膨大な費用を投入してきた。私の撮影技術は全くの素人レベルであるが、カメラ購入の「沼」に嵌(は)まった典型である。現在はライカ、キヤノン、ニコンを卒業し、ソニー製のカメラ・レンズの沼に嵌(は)まっている。カメラ業界では無名だったソニーの挑戦は素晴らしい。

ソニーから新製品が出る度に、高額な費用を投入し購入を続けているが、その最大の理由はソニーの秘められた技術力による(他社を凌ぐ)新機能への感動であり、ソニーの(カメラ業界への)意欲的な挑戦への感動である。私が偉大な経営者である平井氏を評価することなどできないが、誤解を恐れず私見を述べさせていただくと、ソニー復活は日本のものづくり遺伝子に回帰した革命であり、お客さまの「感動」を旗印に、グローバル主義から脱皮した日本の誇りである。

もっと強い言葉を使えば、「欧米からの思想的奴隷解放」でもある。足元でなく未来を見る。傍流であるからできた平井氏の革命。学ぶことが多く、真に勇気づけられる「事実の物語」である。ソニーの復活こそ日本復活のお手本であり、日本の「希望と勇気」がここにある。劣化列島日本が侵された病は、「グローバル」という欧米発のウイルスであることは明白であり、この病の特効薬は「日本遺伝子への回帰」であることを「ソニーの復活」が物語っている。








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著者 高木俊郎
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2022/04/16 09:54 | URL | 無免許ピタットハウス経営者、横領で逮捕 #- | 編集







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