2014/08/31 衝撃の出合い 第3話:『間違ったイノベーションの定義』
衝撃の出合い 第3話:『間違ったイノベーションの定義』


人々の衝撃の出合いは、人類のイノベーションが関与している事が多くある。

では、イノベーションとはなにか? ーー多くの人は、『技術革新』と答える。
特に大手企業では、今日も技術革新のよる新しい機能開発競争が熾烈化しており、この技術革新をイノベーションと呼び、企業競争勝敗をかけた技術陣の任務になっている。

この定義は正しいか?
答えは、狭義的には正しいが、イノベーションの定義としては、正しくない。
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今回の第3話では、衝撃の出合いという蓄音機をテーマに、イノベーションの真の定義に迫ってみたいと思う。

まずは、蓄音機から今日のスマホまでの歴史総括。

※ 蓄音機は、100年以上も前にエジソンによって発明され、以降数々の技術革新によって蓄音機は量産され、日本でも大正・昭和(終戦直後まで)の高級娯楽として、定着をした。

※ 昭和26年には、LPレコードが日本で販売開始され、真空管式オーディオの時代に突入する。昭和30年台に入るとステレオプレーヤが誕生し、超高級オーデイオから汎用オーディオに至るまで、各メーカの技術革新と量産で市場は爆発的に拡大し、蓄音機はすっかり忘れ去られ粗大ごみとなって消滅。

※ 昭和54年(1979年)ソニーが世界に発信したウォークマンは、人々の音楽と向かい合う価値観を変えた。

※ 昭和57年(1982年)CDが誕生。LPレコードや真空管アンプは一部のマニアの道具となり、大量販売市場から姿を消した。
昔のオーディオ全盛期の頃の秋葉原を懐かしく思い出すのは、私だけではないと思う。

※ 今日、ウォークマンやCDに変わって、iTunesやスマホの時代到来の現実は説明の余地はない。

『音楽を聴く』目的も、時代と共に価値観が変化し、普及する商品も大きく変化してきた。
この変化が、イノベーションである。

ソニーが昨月末(2014.07)に、ウォークマンの復活と称して、約7万円の新型ウォークマンZX1を発売した。ソニーの宣伝では、『未体験の心震える感動を』とある。
不作続きのソニー高級路線の中では、結構売れているらしい。
これが、ウォークマン発売以降35年間渡り、ソニー技術陣が努力してきた技術革新の結果である。でもこの商品はイノベーションと呼べない。

ハイレゾウォークマン「NW-ZX1」オフィシャルサイト

ウォール・ストリート・ジャーナルでの解説記事

ソニーは、ZX1を人類最高音質のウォークマンと呼び、開発者は金に糸目をつけず最高の技術を投入したと公表しているが、イノベーションを巻き起こした”かつてのソニー”とは随分かけ離れている。
35年前のウォークマンとなにが違うのか?

答えはシンプル。”普及するか否か” の違いである。

35年前のウォークマンは、小型化という時代の変化を自ら作り出し、人々に小型オーデジオを活用提案をし、市場創造に成功した。世界中で受け入れられ、普及し社会生活を大きく変えた。
これがイノベーションである。

イノベーションの定義は、売れなければダメ。ニッチではなく普及することが必須である。
社会生活が変わり、価値観が変わることがイノベーションである。

今世界では、スマホやGoProなど爆発的普及を伴う”真のイノベーション”が進行している。

中小製造業の戦略は、今日のイノベーションを認識し、このイノベーションに自らが追従すし、自らが変化することーーーこれ以外中小企業の発展の道はない。
※ 時代の変化に対応すること。
※ 守ったら負ける。
※ 自社の技術を奢っていたら負ける。

中小企業における、イノベーションの定義は、『時代の変化に対応する経営者の決断と実行』である。

”100年以上前の蓄音機の奏でる音色” これをを初めて聞く人は、強い衝撃を受ける。
『未体験の心震える感動を』。。。まさに蓄音機のための言葉である。
電気も使わず、ゼンマイで巻き上げ、針から拾う音色が大音響で奏で、歌手が目の前にいるような錯覚さえ覚える、未体験の心震える感動。
蓄音機を聴くと、人類の技術革新とは何だったんだろう? と疑問が沸き上がってくる。

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しかし、感動とイノベーションは別物である。
技術革新は、イノベーションのほんの一部にすぎない。

イノベーションは、技術者の仕事ではなく、経営者の仕事である。
15:47 | インターネット | コメント:0 | page top
2014/08/07 衝撃の出合い 第2話: 『テネシー・ワルツの衝撃』
IBMの画期的な大型コンピュータ「システム360」の誕生は1964年4月。ちょうど半世紀が過ぎ去り、インターネットという仕組みを我々が知るようになって20年近くになる。
この2つの出来事は当然のことではあるが、我々が経験してきた人類最大のイノベーションであることに異を唱える人はいないであろう。

今日当たり前のようにSNSを使い、片時もスマホを手から離さない人々は、世界中老いも若きも、何も不思議ない光景であるが、10年前にこれを予想した人がいるだろうか?

”衝撃の出合い” など人生の中でそう多くあることではない。
私とインターネットとの出合いは、あまりに衝撃的であった。『テネシー・ワルツの衝撃』この衝撃的出合いをキッカケに、製造業界で働く私は”製造業のデジタル化の必要性”を強く認識し、その仕事が私の礎となっていく。

インターネットとの衝撃の出合いは、eBay(米国インターネットオークション)を初めて知ったことである。

衝撃の出合い 第2話は、『テネシー・ワルツの衝撃』。。eBayでの一枚の古いレコードの入手体験を投稿させていただく。

テネシー・ワルツ


第一話では『蓄音機との出合い』を投稿した。

この出合いで手に入れた”蓄音機”は今でも私の家に大切に保管されている。
この蓄音機を見るたびに15年前にアトランタで出会った、アンティークショップの”おばあさん”の顔を思い出す。彼女が視聴で聞かせてくれた”テネシー・ワルツ”、おばあさんが話してくれた青春時代の思い出話。数年前に亡くなられたご主人との想い出。
視聴した”テネシー・ワルツ”のレコード盤を蓄音機と一緒に持ち帰ろうとする私のまえで、
涙を流しレコード盤を握りしめ『これだけは持って行かないで...』『青春時代の主人との.....』と訴える”おばあさんの姿”

”テネシー・ワルツ”のレコード盤をおばあさんの元においたまま蓄音機だけを買って帰った私は、何がなんでも”テネシー・ワルツ”のレコード盤を手に入れようと、米国のレコードショップやアンテークショップを探しまわった。
しかし、簡単に手に入るはずがない。なにせ何十年も前に製造中止し今では誰も使わない”蓄音機”専用の古いレコードである。

米国出張中の私は、すっかり意気消沈し、大きな蓄音機だけ日本に送る手配をし帰国した。

日本に戻って、2週間後のことである。
突然、米国に住む私の友人から、”テネシー・ワルツ”レコード盤ニュースの吉報が飛び込んだ。彼の話によると、たった数ドルで全く知らない個人から入手したと言う。
信じがたき話。よく聞くとeBayというインターネットオークションであるという。
意気消沈していた私をよく知る友人がもたらしてくれた吉報は、テネシー・ワルツのレコード盤入手の嬉しい興奮もさることながら、当時日本には存在しないインターネットオークションとの出合いが、私のインターネットの底力と真のイノベーションを知る衝撃の出合いとなったのである。もし、アトラントのおばあさんに出会うことがなかったら、私のインターネットへの認識はずーと遅れていたと思う。

私は、以降eBayの会員登録をし、日本から毎日のように様々な趣味商品を探しては、入札する。日本でもやっとYahooオークションが一般化しはじめ、米国からeBayで買って、日本のYahooで売る。そんなちょっとした遊びで、私の趣味は、蓄音機や真空管アンプに始まり、ライカのカメラやアルファロメオのアンテークカーまで一気に幅が広まっていくのである。

次回第3話は、これらの体験を通し、イノベーションの真髄に迫りたいと思う。
09:58 | インターネット | コメント:0 | page top
2014/08/05 衝撃の出会い 第1話:『蓄音機との出合い』
2000年初頭の米国ジョージア州アトランタ。
アトランタ郊外の大田舎を走行中、道路際にあるーANTIQUES-の看板発見。
早速看板の案内に従って行って見ると、店というより、まるで納屋・・・
期待もせず、興味半分でドアを開けると、愛想のいいおばあさんが迎えてくれた。
彼女の話によると30年間もこの場所でこのお店をやっているそうである。

お店


ここで、偶然にも・・1930年代のPhonograph(蓄音機)・・を見つけた。
店の中に並べられたガラクタ類に比し、唯一のアンティークらしい品物である。
この蓄音機は、マサチューセッツ州から持ってきたそうである。

ラッパのついた蓄音機と同じ機能だが、これは家具調でかなり大きい。
〔いいナァー、でもデサインはフランス製のがいいな〕・・などと思っているうちに、
彼女が、「これ動くのよ」 っと言って テネシーワルツ を鳴らしてくれた。
衝撃の音色。電気を全く使わないのに、レコードはしっかり回転し、店中に大音声が響く。パティーページが現れた感じ・・CDとは違いレコード針の雑音も交じる。
でも、感動!感動!感動!買う決心をした。

蓄音機


彼女の話によると、生まれは1920年、長女が1942年に生まれたそうである。
亭主がずーと同じであることも、彼女の自慢話である。
なんでもない彼女の話が、不思議とテネシーワルツの懐かしさと重なり
値段を値切る事など、邪悪の事のように思えてしまう。

店に来てたった10分間で、100$札6枚を支払う変な異邦人に、彼女は、
I was very surprised と声をだし、驚きと当惑を全身で表現した。

でも、本当に驚いたのは私のほうである。
ジョージアの片田舎で、80歳のおばあさんと70年前の蓄音機が奏でる
テネシーワルツのハーモニが、突然現れたのだから・・・
蓄音機が現役の頃にタイムスリップした気分である。

私は蓄音機と一緒に、懐かしきテネシーワルツの唄声を持ち帰るつもりでいた。
しかし彼女は、 「このレコードには私の青春時代の思い出が・・・」 っと言って
涙ぐんでテネシーワルツのレコードを絶対に譲ろうとしない。

$600を支払った後である。 視聴したレコードくらい付いているのは常識である。
普通なら意地でも交渉に臨む所である。
しかし、相手は涙ぐみ、必死に嘆願する老女・・・
こんな場合の交渉の術を僕は持ちえていない。

お婆さん


結局、78回転SPレコードの雑音と共に聴こえる懐かしき Patty Page の感動は
またいつ聴けるか分からない僕の思い出の中にしまわれてしまった。

テネシーワルツのレコードも手に入らず、たいした値引きもできなかったが、
気分は非常にさわやかである・・・なにか良い事をしたような、得したような・・・・
ジョージア州アトランタ郊外の名も知らぬ田舎町で偶然であった蓄音機
・・・良き思いでと共に、私はこの蓄音機を持ち帰った・・・


積み込み
15:37 | インターネット | コメント:1 | page top
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