2017/10/29 I4.0 , IoT そして フィンテック・
以下は 2017年10月25日のオートメーション新聞 第126号に掲載された寄稿記事です)

I4.0 , IoT そして フィンテック

ーー 続々と日本に来航する「現代の黒船」 ーー

皆さんは「フィンテック」や「仮想通貨」をご存知でしょうか?
数年前には「インダストリー4.0」が、現代の黒船としてドイツより来航し、日本中が大騒ぎとなったのも記憶に新しい。第4次産業革命として、多くの解説が繰り返されたが、いつのまにか「IoT」ブームにかき消され、大企業から中小企業に至るまで「IoT」一色となって、日本中の企業から、「IoTとは何か?」が発信されている。

インダストリー4.0後進国と言われた日本も、コンセプトや将来ビジョンに於いて、今や世界をリードするIoT大国である、と言っても過言ではない。しかし不思議な事に、日本ではインダストリー4.0やIoTには熱狂しているが、「フィンテック」に対しての盛り上がりはそれほど大きくない。

フィンテックとは「Finance(金融)」と「Tecnology(技術)」を組み合わせた造語である。フィンテックの台頭により、マネーの取扱には大きな変化が生じ、銀行や証券会社での金融の従来サービスが破壊され、人々の社会生活や企業活動の根底が変化する可能性が指摘されている。

フィンテックの最大要素は仮想通貨である。仮想通貨の普及は、人類の生活スタイルを一変させる威力を持っている。かつてお財布携帯なる機能が流行ったが、将来は仮想通貨により人々の日常生活からキャッシュが完全消滅し、スマホだけがお財布となる時代が来るかもしれない。

日本ではお財布携帯が進化し、スイカなどの電子マネーで、電車・コンビニ・自動販売機など現金不要のインフラが進化しているが、仮想通貨はクラウド上に自分の口座を有し、世界中どこでも使用できるグローバル通貨である。少額プリペイドで国内限定のガラパゴス・インフラとは全く異なるものである。

仮想通貨は、海外送金にも非常に便利である。簡便な操作と超低価格の手数料で瞬時に国際間送金が可能であり、インターネットでのお買い物は益々便利になり、国際取引が急増するだろう。

例えば、「美味しいイタリア産のオリーブオイルを買いたい」と思いインターネットで探したお店が、イタリアのオリーブ産地の直営店であっても、簡単にイタリアから直輸入商品が買える。イタリア語を使う必要もなく(自動翻訳を使って)簡単注文。仮想通貨で支払い瞬時。円とユーロの交換も不要・・ そんなフィンテック時代が、もう目の前に来ている。

従来の銀行・金融機関を使用した海外送金システムや、複雑な輸出入業務・納税手続きなどは完全に過去のものとなるだろう。また、海外旅行の際には外貨の概念を持つ必要もなく、両替の手間はいらない。

このように注目される仮想通貨であるが、日本では一般的に信用されていない。ビットコインなど仮想通貨の名前だけは聞いたことはあるが、特に関心もなく「胡散臭いもの」と考えている日本人が大半である。

しかし世界の現実は随分違う。フィンテックの中核をなす仮想通貨は、既に欧米はじめ中国など新興国を巻き込み、世界中で市民権を得ることに成功しつつある。仮想通貨はブロックチェーンなど、様々な新技術に支えられた壮大なイノベーションであり、インダストリー4.0 や IoT などと並び、新たな世の中を生み出す力を秘めている。

中国はじめ新興国では、金融インフラが弱く、銀行口座やクレジットカード保有率は非常に低い。その反面で、スマホ保有率が急上昇し、従来銀行に依存せず仮想通貨によるスマホ決済を発展させる土壌が整っている。

日本人が見向きもしないフィンテックが、中国など新興国で急成長していくのは実に残念なことであるが、仮想通貨には依然としての闇と光が共存しているのも否定できない。

闇の部分は、なんといっても仮想通貨の投機性である。市場には何十種類の仮想通貨が存在するが、実際に世間で使えるのはビットコインのみ。通貨として通用しない仮想通貨が投機対象で売買されている。仮想通貨の売買を行う取引所には信頼性の乏しい所もあり、かつて数年前にマウントゴックスという取引仲介サイトがサイバー攻撃で倒産した。

また、仮想通貨の代表であるビットコインは、金(ゴールド)を模造して開発されており、マイニング(採掘)の概念や採掘量の制限など、高度な技術の投入により優れた将来性が認識されている。
このために、金(ゴールド)以上にビットコインへの投機熱が加熱し、誕生以来激しい暴騰と乱高下が続いている。今年も一年間で約10倍値上がりしており、投機マネーの格好の対象となっている。

一方で、2017年は日本での「フィンテック元年」であり、仮想通貨を取り巻く環境に大きな進歩が起きている。まさにこれが仮想通貨の「光の部分」であり、フィンテックが発展するエンジンとなっている。

日本でも、ビックカメラがビットコインの扱いを開始し、ビットコイン使用の環境が整いつつある。さらに、日本政府が法的整備を開始し、取引所の信頼性も飛躍的に向上していることから、日本では2017年に仮想通貨が法的に認知されたことで、「胡散臭さ」の大半が解消されたと言っても過言ではない。

影と光が交錯しながら、フィンテックは激しい進化を続けていくことに疑いの余地はない。
ブロックチェーンの技術は、仮想通貨以外にも応用され多くの産業に変化をもたらすだろう。本稿の主役である中小製造業の将来にとっても、I4.0やIoTと並びフィンテックの動向は決して他人事ではない。







記事肖像画縦
著者 高木俊郎

17:49 | オートメーション新聞寄稿記事 | コメント:0 | page top
2017/09/30 ガソリン車からEVへの切り替え・日本製造業に与えるプラスとマイナス
以下は 2017年9月27日のオートメーション新聞 第123号に掲載された寄稿記事です)

ガソリン車からEVへの切り替え

ーー 日本製造業に与えるプラスとマイナス ーー

EV(電気自動車)が注目されている。地球環境保護の観点からイギリス・フランスが打ち出した、2040年ガソリン・ディーゼル車の販売全面禁止や、中国のEV優遇策など各国の環境規制強化が、ガソリン車からEVへの切り替えを促している。

ドイツで開催されたフランクフルト・モーターショーでは、EVが主役の座に躍り出た。ドイツ主力メーカが揃ってEVを発表し、EVの本格的到来を告げる歴史的な幕開けとなった。
『EV(電気自動車)がこれからの自動車だ!』というイメージも世界中に定着しつつある。

しかし、日本の自動車メーカは、ガソリン車からEVへの完全切り替えを考えてはいない。トヨタ自動車は、EVの重要視を表明する一方で、依然としてHV(ハイブリッド車)戦略を堅持し、EVへの本格切り替えには慎重である。先般発表されたトヨタとマツダの資本・業務提携からも、低燃費ガソリンエンジンを搭載するHV(ハイブリッド車)へのこだわりが透けて見える。

ドイツ各メーカは、トヨタ自動車以上にEVへの早期切り替えの必要性を抱えている。得意としたディーゼルエンジン問題に加え、主力市場(欧州・中国)からのガソリン・ディーゼル否定を受けて、ドイツ自動車各メーカは、シリーズ全体にEVを投入する戦略を発表した。

日本メーカより一歩進んだ EV(電気自動車)戦略であるが、将来に渡ってガソリン・ディーゼル車をラインナップに残す事も戦略の中心に据えている。

日本もドイツも本音では『完全EVには乗り気でない』のであろう。特に日本は、優れたエコ技術を保有しており、EVへの切り替えに鈍重なのは当然であるが、EVへの乗り遅れが、不幸にして日本の自動車産業衰退のキッカケとなる危険もはらんでいる。

自動車王国アメリカでは、ベンチャー企業テスラ社が『自動車メーカへの挑戦』を旗印に掲げ、高級車市場にEV車で殴り込みをかけ、成功を収めている。シリコンバレーを中心とした富裕層では『テスラが上流階級のシンボルだ』といった旋風を巻き起こしている。

日本の自動車市場が、現時点でガソリンからEVに切り替わる事を想像することは難しいが、好むと好まざるとにかかわらず、近い将来に切り替えが起きることは間違いない。日本で、ガソリン車からEVへの切り替えが本格的に起こった場合、自動車メーカのみならず日本製造業全体に甚大な影響を及ぼすのは必至である。

日本製造業はどんな影響を受けるのか?そのプラスとマイナスを考察してみたい。

結論から述べれば、プラスは『社会インフラの変化によるチャンス到来』すなわち、EVを端末とする電力スマートグリット網や充電ステーションなどの膨大なインフラ需要は内需拡大を促し、日本製造業に大きなメリットを与える。

おびただしい数の充電ステーションの設置により、駐車場・ガソリンスタンド・高速道路・パーキングエリアなど社会インフラがガラッと変わる需要は壮大である。

また、EVとは切っても切り離せない『自動運転技術』などスマートインフラやサービス産業にも大きなプラス点がある。EVへの切り替えは、第4次産業革命の象徴として都市全体のスマート化促す起爆剤となるだろう。

マイナス面は『自動車製造の日本優位性消滅と系列ピラミッド崩壊』である。自動車メーカの下請け中小製造業は仕事が激減する。悪夢ではあるが、家電王国日本の衰退と同じことが、自動車産業を襲うかもしれない。

ガソリン車からEVへの切り替えにより、自動車のものづくりは家電のものづくりに近づく。ガソリン車の製造には、日本が得意とする『すりあわせ(インテグラル型)』で優位性を保ってきたが、EVとなれば『組み合わせ(モジュール型)』に優位性が移ってしまう。

『自動車のパソコン化』が起きるだろう。日本が得意とした『自動車のものづくり』は、韓国や中国が得意とする『パソコン・スマホのものづくり』に変わってしまう。日本人が不得意な『系列を持たないグローバル調達・モジュール組み立て』への移行である。

大手製造業は巨体であり、変化に対応することは簡単ではない。しかし変わらないことが悲惨的な破滅と衰退を招くことは、日本の家電業界はじめ多くの大手製造業が実証している。トヨタはじめ日本の大手自動車メーカも同じ轍(てつ)を踏むのだろうか?。

系列の傘下にある中小製造業は、新たなビジネスチャンスに溢れている。自動車メーカの系列ピラミッドは巨大であり、日本列島津々におびただしい数の企業が自動車製造に依存しているが、これらの企業は自動車に固守する必要もない。

世界の競合と戦う必要もないし、親会社と心中する必要もない。仕事が減る親会社・系列からの依存脱皮が戦略となる。

系列から離脱し新活路で成功するには、企業体質のデジタル化が必須である。自社のノウハウをデジタル化(①記憶から記録、②情報の5S化 ③社有化)し、新たな顧客とマーケットに売れる準備をすることである。

ノウハウは埋蔵金である。EVへの切り替えで湧き上がる新たな需要から埋蔵金の掘り出しのチャンスがやってくる。デジタル化により新規マーケットと新規顧客が開拓され、中小製造業の保有ノウハウが売れる時代がやってくる。

小回りが苦手の「大手メーカー」は受難。 敏速に動ける「中小製造業」にチャンス到来。ガソリン車からEVへの切り替えで、そんなプラス・マイナスの混在時代が訪れるであろう。







記事肖像画縦
著者 高木俊郎

16:27 | オートメーション新聞寄稿記事 | コメント:0 | page top
2017/08/30 世界中で増殖中『オープンERP』・中小製造業、『次世代の勝ち組』へのパスポート
以下は 2017年8月23日のオートメーション新聞 第119号に掲載された寄稿記事です)

世界中で増殖中『オープンERP』



ーー中小製造業、『次世代の勝ち組』へのパスポートーー

最近、製造業は好調である。創業以来の売上と利益を更新している企業も数多く見受けられるが、中小製造業にとっては、決して喜んではいられない深刻な事態に直面している。

日本の精密板金市場には、2万社を超える『板金製造業』を営む中小製造業・町工場が存在し、年間2兆円を超える仕事が国内に流れており、業界全体では活況を呈している。
半導体製造装置やATM(現金自動預払機)など精密製品の好調性に加え、旺盛な内需の好調が活況の背景にある。しかし、2万社の板金製造業には、極端な『2極化』現象が台頭している。

ここ数十年でNC化や自動化・デジタル化が高度に進み、設備力において大きな企業間格差が生まれ、俗に言う『勝ち組・負け組』の2極化が進行し、設備力の進んだ勝ち組に仕事が集中する過去例を見ない事態が起きている。

全体数の4分の3に及ぶ1万5000社には仕事が少なく、廃業や企業売却を考える企業が急増し、数年先には何千社もの企業が消滅すると予想されている。
勝ち組となった企業も決して予断を許さない大きな経営課題に直面している。今回はこの『勝ち組の経営課題』を深掘りし、次世代への対応策を検討していきたい。

まずはじめに取り上げるのは、『勝ち組でも企業拡張できない』という実態についてである。
どんなに仕事があっても『企業の売上を増やせない。増やせば増やすほど利益が減少する』という事実がある。

一般的なデータであるが、精密板金業界では年商10億円を超えたあたりから、営業利益率が大幅に減少する。年商20億を超えるには、相当の経営努力が必要であり、多くの経営者はこの壁を超えることを得策と思わないので、年商20億を超える板金製造業は非常に稀(まれ)である。

なぜこのような事態が生じるのか?
その鍵は、日本の労働生産性の低さの原因と共通する部分が大きい。

周知のごとく、労働生産性とは就業者一人あたりのGDPのことであり、日本は先進国最下位。世界で20番以下の不甲斐なき数字であるが、その原因の一つに『事務職の低い生産性』があげられる。

日本の大手製造業を、ドイツや米国と比較すると一目瞭然である。日本では、人員比率で2倍以上の事務スタッフ(財務・総務・人事・経理・経営企画など)が働いており、ITシステムも欧米と比べデジタル・トランスフォーメーションが極端に遅れ、情報の分析や探す時間にも圧倒的な差が生じている。

年商10億以下の企業では、直接人員比率が高く、労働生産性が高いので利益を出すことができるが、売上が増大するにつれて生産性の悪い間接部門が増えてしまうため、売上を上げられないのが現実である。

中小製造業が、今までと同じように機械を増やし、最新鋭機も導入し、自動化を推進しながら生産規模を拡大するだけでは、企業の安定的発展が得られないことは誰の目からも明らかである。現場の生産性向上と並行し、『間接部門の肥大化から逃れる施策と投資』を重要経営課題に加えなければならない。

その実現には、現在の『ITインフラ』にメスを入れ、企業拡大に耐えられる『次世代型 ITインフラ整備』が必須である。
最終的に、IoT/人工知能によるメリットを享受できる投資が必須であり、欧米ではこの流れをデジタル・トランスフォーメションと呼び、次世代への『勝ち組パスポート』として広く認識され、各社の積極推進事項となっている。

日本では残念ながら、この認識度も低く、欧米には随分と水を開けられているが、これに追いつくための手段として、日本の中小製造業が、いままで避けてきたERPの導入検討が必要である。

ERP(Material Resource Planning)とは経営資源(人・もの・金・情報)の有効活用を目的に、生産管理システムの手法を経営の効率化に発展させた『基幹系情報システム』であり、経営管理の中核を担うシステムでもある。欧米の中小製造業では一般的であるが、日本の中小製造業にはほとんど普及していないシステムである。

ERPと言うと、独SAP(エス・エー・ピー)が有名であり、『難しくて高価で、自社にマッチしない』とのイメージを持つ経営者が多いと思う。しかし、世の中の進化は、中小製造業に大きく味方しており、『オープンERP』が世界中で増殖中であり、大きく注目されている。

オープンERPは中小製造業に極めてマッチする。基本が無料のソースで、カスタマイズも安くて簡単に導入できるオープンERPの存在を知らなければ、時代に取り残されると言っても過言ではない。

生産管理システムの限界値を超えるオープンERPは導入検討すべき選択技の一つである。
世界的なオープンERPを列挙するので、関心のある方はインターネットなどで検索していただきたい。

■JPiere( ジェイピエール/日本の商習慣に対応している)
■Odoo(オドー/ベルギー製で増殖中)
■iDempiere( アイデンピエレ/拡張性大きく可能性大)
■Compiere(コンピエール/米国オープンERPの元祖)
■ERP Next (インド製 /MySQL)
■Open Bravo(オープンブラボ/スペイン製)

など。紙面の都合も有り、詳しい説明を割愛する。
中小製造業がオープンERPを導入し、次世代への『勝ち組パスポート』を手中に収めるメリットは計り知れない。

当社では、当社製『alfaDOCK』を基幹エンジンに置き、顧客の個別要望に基づくオープンERP導入支援も行っている。ご関心の方は、ホームページ(https://a-tkg.com/)をご参考いただければ幸いである。







記事肖像画縦
著者 高木俊郎

13:40 | オートメーション新聞寄稿記事 | コメント:0 | page top
2017/07/26 『探すの時短』に秘策あり・デジタル化の1丁目1番地『情報の5S化』
以下は 2017年7月19日のオートメーション新聞 第116号に掲載された寄稿記事です)

『探すの時短』に秘策あり



ーーデジタル化の1丁目1番地『情報の5S化』ーー

日本の『労働生産性の低さ』が話題になっている。
『日本はOECD加盟35カ国中22位、先進国では最下位』との結果に、不甲斐なさを感じている人は多い。
この結果だけで『日本の労働者は、質が悪い』と断じるのは正しくないが、労働生産性低下の真犯人を探し、対策を検討しなければならない。

一般論として、日本の『ものづくり世界一』は、自他共に認める事実である。
熟練工のレベルも設備力も世界を圧倒し、日本列島津々浦々に歴史的な『ものづくり遺伝子』が定着し、名実ともに日本が『世界一の製造集積国家』と言っても決して過言ではない。
特にトヨタ自動車から普及した5S(整理・整頓・清掃・清潔・しつけ)は、中小製造業・町工場に至るまで徹底され、QCD競争の底力となり、高い生産性を実現している。

しかしその反面、残念ながら『事務職やエンジニアリング職』の生産性が低いのも事実である。当社の調査結果よると、一人あたり『一日一時間以上のムダな作業』が発生していることが判明している。この無駄な作業とは、書類や図面を『探す』時間であり、生産性を著しく減少させている真犯人である。コンピュータが進んだことで、かえって『探すムダ』が増大してしまった企業も少なくない。

欧米企業と比べ、顕著なほど『探すムダ』が多いのが日本の特徴であり、その原因は欧米と比べ、日本の企業慣習が大いに関係している。日本では、歴史的に終身雇用制を背景に、社員を信頼して仕事をすることが一般的である。社員全員が一丸となってことに当たる『団結と強調』は日本での組織運営の美徳でもあった。

この美徳の副作用が、『会社データの担当者任せ』という特異な現象となり、会社の情報管理の重大な危機となっているが、経営者がこの危機に気がついていない場合も多い。

『担当者任せ』となっているバラバラな情報を『社有化』し、誰でも探せる環境の構築により『探すムダ』の排除は可能であり、即刻対応すべき課題である。このままの状況を続けることはBCP(事業継続計画)の観点からも非常にヤバイ状況である。

災害からの防衛もさることながら、万が一信頼していた社員が悪意の攻撃に転じ、瞬間に会社の貴重データが消失するリスク防衛も当然考えなければならない。特に中小製造業・町工場では、Word/Excelなどの電子データに加え、CAD/CAMや生産管理など異なる種類のファイルが存在し、会社として一元管理されているのは稀(まれ)である。

会社内の情報を『社有化』し、『情報の5S化』の実現はデジタル化の『1丁目1番地』であり、これをスキップして、インダストリー4.0やスマート工場の構築は不可能である。

大手製造業では、『情報の5S化』の切り札として、PDM/PLMやERPが導入され、世界的には独SAPのシステムが一般的となっている。しかし、日本の中小製造業に於いては大規模な『SAPシステム』は、実際の業務との乖離が大きく、導入は難しと判断され、全く普及していない。

一般の中小製造業では、図面は紙図面に始まり、スキャナーで電子化された図面に加え、2D-CADや3D-CADのデータが、個々のエンジニアによって個別に管理されているのが実態である。
また、NC機の普及に伴い、各種CAMシステムや自動プロなども複数導入され、機械とのネットワークも行われているが、機械メーカ任せで、独立したクローズドなシステムとなっている。

生産管理システムも普及しているが、生産管理データは孤立し、依然としてFAXが活躍しているのも現実である。

このようなバラバラな状況に、漠然たる問題意識を持つ企業では、社内ルールを決めて会社全体の共通フォルダーでの一元管理を試みているが、正直言って理想的運用をされている企業にお目にかかったことがない。今日まで『情報の5S化』をやりたくても、なかなか現実的には難しい事が多かったのも事実である。

ここに救世主というべき最先端技術『第3のプラットフォーム』が誕生した。

人類のIT化は、メインフレームの誕生で幕を開けたが、端末との接続が『第1のプラットフォーム』である。これに続き、クライアント・サーバーシステムがIT化の主流となり、PCとWindowsが現在の企業に満ち溢れている。これが『第2のプラットフォーム』である。

『第3のプラットフォーム』とは、インターネットの誕生により人類が手にしたスマホなどに代表される最新プラットフォームのことであり、モバイル・ソーシャル・ビックデータ・クラウドの4種の神器を呼ぶ。

この4種の神器の活用で、今まで不可能であった『情報の5S化』を実現し、『探す時短』効果が即効的に生まれる秘策がここにある。第3のプラットフォームの活用による『情報の5S化』こそ、中小製造業の『デジタル変革・IoTの1丁目1番地』であることは明白である。

当社(アルファTKG)では、具体的実現の手段として、alfaDOCK『ものづくりDX』を製造業向けに販売している。ご関心の方は、ホームページ(https://a-tkg.com/)をご参考いただければ幸いである。







記事肖像画縦
著者 高木俊郎
14:20 | オートメーション新聞寄稿記事 | コメント:0 | page top
2017/07/05 CeBIT 2017からの警告 /『周回遅れ』の日本・中小製造業【デジタル変革】への道しるべ
(以下は 2017年6月21日のオートメーション新聞 第113号に掲載された寄稿記事です)

CeBIT 2017からの警告 / 『周回遅れ』の日本



ーー『中小製造業【デジタル変革】への道しるべ』ーー

‖ 世界最大のIT見本市「CeBIT 2017」盛況

2017年3月「CeBIT2017」(セビット/ 国際情報通信技術見本市)が、ドイツハノーバーで開催され、世界最大の名に恥じない盛況ぶりで閉幕した。

今年のCeBITは、日本がパートナーカントリーを担い、安倍首相も駆けつけ、メルケル首相とともに開会スピーチや会場視察を行い、日本のプレゼンスも大きく向上した。

しかし、世界各国から集まった出展者の規模や内容の充実ぶりには、率直驚かされた。
欧米各国や中国などの取り組みは、はるか日本を超えている感想を拭うことはできない。


‖ 大舞台で「Sicuety5.0」を訴えた日本

第4次産業革命は、人類が直面する現実である。第4次産業革命の取り組みとして「インダストリー4.0」がドイツで生まれ、日本でも大きな話題となったのは周知のとおりであるが、ドイツ以外でも、米国の「先進製造パートナーシップ」、中国の「中国製造 2025」などが旗揚げされており、各国は産学官一体活動を行いながら、世界のリーダーとしてプレゼンス向上を狙っている。

このような世界各国の動向に対し、日本では多くの大手企業が、IoTへの対応を最経営課題として取り上げているが、残念ながら日本の国際社会でのプレゼンスは小さく、世界をリードすることは難しかったが、近年になった日本の動きにも大きな変化が出てきている。

この一つが日本発「Society5.0(ソサエティー5.0)」であり、世界に向けて大きく発信されている。まだ知名度の低い『ソサエティー5.0』をCeBITの大舞台で声高に訴えた。

「インダストリー4.0」のお膝元ドイツで、メルケル首相の目前で、日本戦略「ソサエティー5.0」を安倍首相が開会のスピーチでぶち上げたのである。日本の(世界に向けたリーダ役としての)強い意思を感じる驚愕のスピーチであった。

以下に安倍首相のスピーチを抜粋する。
「森に出て狩りをした大昔。そこを人類史の第一章とすると、米や小麦で安定した食料を手にしたのが第二章。産業化の波が来て近代という名の第三章が幕が開け、通信とコンピュータの融合がまた新たな幕を開いて第四章。

今私たちは、解決できなかった問題を解けるようになる第五章の開幕を目前にしている。ものが皆つながり、全てに技術が融合する時代、ソサエティー5.0の幕開けであります」と解説し、日本が世界をリードすることを宣言した。


‖ 周回遅れが露呈した日本勢

安倍首相は、スピーチのなかで「人類の歴史に大きな節目が訪れた」とする一方で、「健康問題や地球規模でのエネルギー問題などが、イノベーションによって解決されていく社会がソサエティ5.0である」と語り、「製造業は問題を解くインダストリーに変わる」と提言した。

非常に素晴らしいスピーチであったが、CeBITでの日本企業の出展内容はどうだったのか?
本来であれば、CeBITに出展した日本を代表する大企業が、安倍首相のスピーチを裏付ける革新的なイノベーションを披露し、世界の注目を浴びるのが理想だったが、理想と現実に随分のギャップが存在することが露呈してしまった。

日本の大企業の出展は、現在販売中もしくは販売予定の在来商品が大半であり、イノベーションの魅力に欠ける展示が多かった。更に辛口を言えば、IoTに関してはコンセプトのみの『絵空事』に終始した大企業もあり、一部の失望感が日本パビリオンに漂っていたのは、非常に残念なことである。

日本勢の総合評価は、世界のイノベーションから『周回遅れ』との酷評は免れない。ある大企業のブースでは、『おつきあいの出展だからこの程度で仕方ない』と発言していた幹部がいたが、情けない限りである。


‖ なぜ周回遅れなのか?「第3のプラットフォーム」への乗り遅れ


CeBIT 2017でのキーワードから日本周回遅れの原因を検証してみたい。
CeBITの謳い文句は『Digital Transformation(DX). // d!comomy-nolimit』である。

Digital Transformation(DX、デジタルトランスフォーメーション)とは、デジタル変革のことであり、「デジタルトランスフォーメーションに無限のチャンス」が、CeBITでは全面に押し出されており、DXが国際的な関心事になっていることを痛感する。

ドイツのインダストリー4.0も、DXをベースに猛進しているが、日本企業のDXに対する認識遅れが、周回遅れを引き起こす原因の一つとなっている。

DXと称されるデジタル変革は、「第3のプラットフォーム」で実現する大革命であり、安倍首相の主張する「人類の歴史に大きな節目」こそ、「第3のプラットフォームへの移行の節目」と同意語である。

「第3のプラットフォーム」とは、この新しいプラットフォームのことである。モバイル・ソーシャル・ビッグデータ・クラウドの4つを要素技術と定義している。「第3のプラットフォーム」の上では、人工知能やVRなど最新デジタル技術が利用できる「仮想空間」が構築できる。仮想空間の誕生により想像を超えるデジタル変革が実現し、ビジネスモデルの大変革が起きると言われている。

ITの歴史を振り返れば、1964年のIBM System/360から始まった「メインフレームと端末」が大企業でのITの始まりとなったが、これが「第1のプラットフォーム」と呼ばれている。

1990年台から「第2のプラットフォーム」である「クライアント/サーバシステム」が誕生し、世界中のあらゆる企業に普及し、ITの世界に大変革が起きた。パソコンやWindowsが大企業のみならず、中小製造業・町工場に普及したのも、「第2のプラットフォーム」である。

日本の大手製造業は、「第2のプラットフォーム」から脱皮することが容易ではない。
「第一のプラットフォーム」からIT化に取り組んだ大手製造業は、「第2のプラットフォーム」も積極的に取り込み、独自の非常に優秀なクローズドシステムを開発し、このシステムの上で事業活動が行われているので、オープンな「第3のプラットフォーム」への移行は簡単なことではなく、非常に危惧している日本の企業は数多く存在する。


‖ 破壊的イノベーションと最後に笑う勝者とは?


各企業がクラウドを軸とする「第3のプラットフォーム」に移行し、デジタル変革によって新しいビジネスモデルを創造することが、「デジタルトランスフォーメーション(DX)」の真髄であり、世界各国でこの流れが加速している。

金融界の「FinTech」や製造業界の「インダストリー4.0」そして話題の「IoT」のすべてが、DXの範疇であり、DXとは全業種・全業界に広がる未来像である。「第3のプラットフォーム」には企業規模や国境などには全く関係なく、人類の活動を根本から変えてしまう魔力を備えている。

しかし、慎重な日本企業が危惧するように、DXのもたらす世界は必ずしも理想的なイノベーションとはいえない側面もあり、かなり暴力的に破壊を伴って進行する場合も少なくない。

たった数年で彗星のごとく登場した配車サービスUBERは、「第3のプラットフォーム」を活用した新ビジネスであり、破壊的イノベーションの代表であろう。スマホを使いタクシーよりも便利なUBERの新サービスは、瞬く間に世界中に普及した。

しかし、その反面で従来ビジネスが破壊され、多くの反発を招いた。今後もUBERは、多くの反発や犠牲者を量産するだろう。そして、UBER自身も急激な成長に対応できず、自爆するかもしれないが、新しい「配車サービス」という事業は、世界中の未来社会の中で確実に定着するであろう。

スマホ活用の配車サービスは、明らかに問題解決型のサービスであり「ソサエティー5.0」の目指す世界の一つであるが、日本企業の持つ遺伝子には、破壊的イノベーションを避けようとする習性がある。日本企業の周回遅れが、破壊的イノベーションを緩和する緩衝期間であるとしたら、日本企業は最後に笑う勝者となるだろう。


‖ 破壊的イノベーションとは無縁の「中小製造業のインダストリー4.0」


農耕民族として企業の継続発展を続けてきた日本企業の遺伝子に、破壊的イノベーションは不向きであるが、米国を中心とするベンチャー企業が、破壊的イノベーションを仕掛けてくるのを避けることはできない。

グローバル競争を強いられる「日本の大手製造業」は、好むと好まざるとにかかわらず、世界中から破壊的イノベーションの攻撃を受けることは避けられず、中小製造業にも大きな影響が及ぼされると思われる。

このような環境で、中小製造業が取るべき対応は、大手企業以上にデジタル変革を急速に推進することに尽きる。今までに投資した設備を大切にしながら、「第3のプラットフォーム」を活用した、受注窓口の拡大や、つながる工場・考える工場への変革が勝利への最短路線である。

過去数十年に亘りデジタル化を強く推進してきた中小製造業・町工場は数多く存在し、これが「第2のプラットフォーム」の遺産(レガシー)である。

CAD/CAMシステムや生産管理システムなど優れたソフトウェアが導入され、結果として、事務所には数多くのパソコンが設置され、事務所の社員全員がパソコンを操作して仕事をこなしている。

加工機も、CNC付きマシンや自動機・ロボットなど、PLCやコンピュータが搭載された機械が多く設備され、事務所とネットワークで繋がり、スケジュール化された自動運転システムも多く稼働している。

このような遺産(レガシー)が日本列島津々浦々に存在するのは、真に日本の底力である。遺産(レガシー)は負の遺産でなく財産である。この財産を活かし、「第3のプラットフォーム」を増築することが、中小製造業・町工場のデジタル変革の王道であり、この実現が世界に先駆ける中小製造業のインダストリー4.0の成功事例となるだろう。


‖ クラウドへの偏見を捨て、活用しよう


少ないようで多いのが「クラウドに対する偏見」である。インダスリー4.0の実践には、この偏見はご法度である。

「クラウドは危険だし、スピードが遅いから当社はクラウドは使わない」と仰る中小企業経営者が意外と多いのも現実である。人工知能への認識も「あんなものは危ない。人間の敵になる存在だ」と仰る経営者もいる。このような認識は、テレビなどの報道によるものも多いと思われるが、捨てなければならない偏見である。

未来への扉を「開くか」「閉じるか」は、ちょっとした判断が分水嶺となる場合が多い。
例えば、クラウドの活用をちょっとした判断で拒絶してしまったら、「第3のプラットフォーム」への入口の扉を閉めてしまう結果となる。

使い慣れたWindowsパソコンとソフトだけでは、未来の扉が開かない事を「デジタルトランスフォーメーション」が示唆している。


‖ 『情報の5S化』から始めるインダストリー4.0


第3のプラットフォームを活用し、中小製造業がインダストリー4.0を具体的にすすめるために、まず始めなければならないのは、「情報の5S化」である。

一般的に5Sとは、「整理」「整頓」「清掃」「清潔」「しつけ」の頭文字の S をとったものであり、日本での5S は、中小製造業・町工場の津々浦々まで 徹底されており、世界中のお手本ともなっている。

インダストリー4.0実現のために重要視すべきは、「5S」ではなく「情報の5S化」である。「情報の5S化」に視点を移すと日本の製造業は、世界から随分遅れているに気がつくはずである。

一言で表現すれば、「情報がバラバラ」。今日までに「第2のプラットフォーム」に構築された、CAD/CAMシステムや生産管理システムに加え、PDFなどの電子情報やメール情報など様々な情報が、工場内に氾濫しているが、多くの情報がバラバラに存在し、時には担当者のパソコンの中で埋もれてしまっている。

これらの数々のレガシー情報を会社の財産として社有化し、情報を有効活用する事が何よりも重要なことであり、「情報の5S化」なくしてデジタル変革を成し遂げることはできない。


‖ 情報の5S化を具体的に実現する「alfaDOCK(アルファドック)


株式会社アルファTKGが市場に提供する「alfaDOCK(アルファドック)」の導入で、「情報の5S化」を容易に実現することができる。

「alfaDOCK(アルファドック)」は、正真正銘の「第3のプラットフォーム」である「情報の5S化」を即刻実現し、ビッグデータや人工知能など最新技術活用への道を切り開く最短路線である。

「第3のプラットフォーム」を使って、バラバラになっている各種情報をひも付けて、「情報の5S化」を実現するのが、クラウドを活用した最先端技術である。レガシーシステムとの強力なインテリジェントソケット機能により、図面や各種ドキュメントがひも付き「情報の5S化」が実現する。

「情報の5S化」が実現した企業では、スマホやパソコンを使って社員全員が情報を有効活用でき、「見える化工場」「つながる工場」「考える工場」「ペーパレス工場」への第一歩を歩み出している。

alfaDOCK(アルファドック)」の活用による「情報の5S化」の実現が、中小製造業のデジタル変革の具体例であり、第3のプラットフォームを手にしたことで、世界中の最先端技術を導入できる企業体質への変革が、中小製造業のインダストリー4.0の具体的実践である。

大手製造業よりも早く、第3のプラットフォームへのデジタル変革を実現することが、中小製造業の勝ち組へのパスポートであり、その道しるべは「情報の5S化」である。







記事肖像画縦
著者 高木俊郎

14:21 | オートメーション新聞寄稿記事 | コメント:0 | page top
製造業再起動ブログ


Designed by ぽんだ
Powered by FC2ブログ



Copyright © アルファTKG 公式ブログ All Rights Reserved.